早乙女利光 著 『源氏物語』の表現技法─表現・語り・引用─
- 凡例
序章 『源氏物語』の表現・語り・引用─教材論への視座─
Ⅰ 『源氏物語』の表現
Ⅱ 『源氏物語』の語り
Ⅲ 『源氏物語』の引用
Ⅳ 教材の表現に関する研究
Ⅰ 『源氏物語』の表現
第一章 桐壺巻の表現構造─他者によって規定される光源氏─
一 はじめに
二 桐壺巻研究史
三 桐壺帝のもくろみ─政治的な立場をよむ─
四 桐壺帝と左大臣の密約の可能性
五 「いづれの御時にか」について
六 桐壺巻の語り手について
七 桐壺巻における他者の役割
八 桐壺巻の時間
九 結び
第二章 花宴巻の方法─桜花宴と藤花宴─
一 はじめに
二 「花の宴」ではなく「桜の宴」の意味
三 光源氏の春鶯囀と頭中将の柳花苑
四 藤の花の宴─桜二木と藤の花─
五 結び
第三章 浮舟造型の方法─かきおこす女とゆだねる女─
一 はじめに
二 「いとをかしげなる女」の正体をめぐって
三 「かきおこす」について─身と心の乖離、御息所の場合─
四 浮舟の独詠歌における「身」について─出家以前と以後─
五 六条御息所から浮舟へ─身にしたがふは心─
第四章 手習巻におけるあま衣歌
─早蕨巻の宇治中君の詠歌をてがかりに─
一 はじめに
二 「あまごろも」─宇治中君と尼君との贈答歌─
三 浮舟歌と中君歌の共通性─「袖ふれし」について─
四 あま衣歌と前後の散文との関連
第五章 夕霧造型の方法─「才」に規定される夕霧─
一 はじめに
二 光源氏の「教育論」の意図
三 才と大和魂
四 夕霧造型に見る才の役割
五 光源氏の「聖代」の演出
六 結び
Ⅱ 『源氏物語』の語り
第六章 末摘花巻の方法─語りの構成意識─
一 はじめに
二 情報を制限される光源氏を表す語り
三 末摘花に関する語り
四 一人称的語りから三人称的語りへ─語りの構成意識─
第七章 賢木巻の語りと表現─表層と深層の二重構成─
一 はじめに
二 光源氏を取り巻く情勢の変化を表す出来事について
三 描写される光源氏の私的行為について
四 深層における犯し─賢木巻の二重構成─
Ⅲ 『源氏物語』の引用
第八章 桐壺巻「いとかく思う給へましかば」の一解釈
─『漢書』元后伝第六十八 司馬良娣伝の影響─
一 はじめに
二 「いとかく思う給へましかば」の解釈
三 『漢書』元后伝第六十八 司馬良娣
四 結び─桐壺更衣の造型─
第九章 若紫巻における引用表現について
一 はじめに
二 引歌・和歌的表現に関して─「くらぶの山」について─
三 長夜の闇に迷う光源氏
四 結び
第十章 明石巻の表現方法─住吉神と桐壺院の機能─
一 はじめに
二 上巳祓の機能─顕宗天皇朝の曲水宴をてがかりに─
三 神意と「父霊」の働き
四 境界としての明石─取り込まれる光源氏─
五 結び
第十一章 六条院造型の方法─四方四季構造をてがかりに─
一 はじめに
二 異郷という空間
三 『竹取物語』と異界
四 四方四季構造
五 結び
第十二章 藤裏葉巻の方法─『伊勢物語』引用と変奏─
一 はじめに
二 光源氏、内大臣それぞれの思惑
三 『伊勢物語』引用─両家の確執を想起させるものとして─
四 大宮の役割─両家の架け橋として─
五 結び
Ⅳ 教材の表現に関する研究
第十三章 古典作品の教材化─作品の表現をてがかりに─
一 はじめに
二 作品研究と教材研究
三 教材重視か学習者重視か
四 結び
第十四章 『源氏物語』桐壺巻「いとまばゆき人の御おぼえなり」の解釈
一 はじめに─解釈上の問題点─
二 「まばゆし」の用例
三 「人の+御おぼえ」の用例
四 結び
第十五章 『伊勢物語』二三段の表現
─「けこのうつはものにもりける」について─
一 はじめに
二 『伊勢物語』二三段研究史─何がテーマとされてきたか─
三 「けこのうつは物にもりつゝ」─『唐物語』の例─
四 自ら飯を盛る行為─高安の女はみやびではないのか─
五 「筒井筒」部分と高安の女の二首の歌
六 結び
第十六章 「家口」か「家子」か─『伊勢物語』二三段の読解のために─
一 はじめに
二 『竹取物語』の用例─「わろきけこにたまはせん」─
三 史書・古記録の用例─「家口」の意味─
四 「けこのうつはものにもりける」の新たな解釈
第十七章 「浮舟物語」教材化の方法─どのようなテーマを設定するか─
一 はじめに
二 瀬戸内寂聴作「髪」との比較対照の可能性
三 入水、出家の比較を通して─浮舟の精神的成長を考えさせる─
四 結び
初出一覧
あとがき
人名・作品名・事項索引
A5上製カバー装・312頁
定価:9975円(税込)
ISBN 978-4-8386-0258-2